「お墓の種類が多すぎて、どれを選べばいいのかわからない」。一般墓・永代供養墓・樹木葬・納骨堂と言葉は聞いても、何が違い、費用はどのくらいなのか、見当がつかない方は多いでしょう。子どもに負担をかけたくない気持ちと、先祖のお墓をどうするかという迷いも重なります。
そこで本記事では、お墓の種類を「形」と「運営元」の2つの軸で整理し、継ぐ人の要否や費用の目安で比べられるようにします。公営霊園の料金表をもとにした費用の差もわかるので、家族に合う候補を2〜3種類に絞れるはずです。
あわせて、契約前に確かめたい合祀の時期や宗派の条件も、同じ流れで紹介します。
お墓の種類は形と運営元の2つで分かれる
お墓の種類は、「お墓の形」と「運営元」の2つの軸で整理するとわかりやすいでしょう。形は一般墓・永代供養墓・樹木葬・納骨堂の4つ、運営元は公営・民営・寺院の3つで、「公営の樹木葬」「寺院の納骨堂」のように組み合わさります。
お墓の形は一般墓・永代供養墓・樹木葬・納骨堂
お墓の形は、大きく一般墓・永代供養墓・樹木葬・納骨堂の4つです。違いが出るのは、継ぐ人が必要かどうかと、遺骨をどこにどう納めるかという点です。樹木葬や納骨堂も、継ぐ人が要らない永代供養の契約で使われることが多く、重なる部分があります。
| 種類 | 継ぐ人 | 遺骨の納め方 |
|---|---|---|
| 一般墓 | 必要 | 墓石の下に納める |
| 永代供養墓 | 不要 | 個別または合祀で納める |
| 樹木葬 | 契約による | 樹木や草花を目印に地中へ納める |
| 納骨堂 | 契約による | 屋内の棚などに納める |
法律では、地中に遺骨を納める場所を「墓地」、建物の中で遺骨を預かる施設を「納骨堂」と分けています。どちらも都道府県知事などの許可を受けなければ運営できません。
運営元は公営・民営・寺院の3つ
お墓を運営するのは、自治体の公営霊園、宗教法人や公益法人が経営する民営霊園、お寺が管理する寺院墓地の3つです。厚生省(現・厚生労働省)の指針では、墓地の経営は市町村などの自治体が原則で、それ以外は宗教法人や公益法人に限るとされています。
同じ樹木葬や納骨堂でも、運営元によって申し込みの条件や費用、宗派の決まりが変わります。形と運営元の両方を確かめて選びましょう。
散骨と手元供養はお墓を持たない方法
散骨と手元供養は、お墓を持たずに遺骨を供養する方法です。散骨は遺骨を粉状にして海や山にまく方法で、手元供養は遺骨の全部または一部を自宅などで保管する方法をいいます。
墓地以外の場所に遺骨を埋めることは法律で禁じられているため、自宅の庭に埋めることはできません。一度まいた遺骨は取り戻せないため、散骨は親族とよく話し合ってから決めましょう。手元供養を選ぶ場合も、将来その遺骨をどうするかを家族で話しておくと安心です。詳しくは「散骨とは?違法にならない方法・種類・費用相場をやさしく解説」「手元供養とは?種類・費用・分骨のやり方とデメリットを解説」で紹介しています。
お墓の種類ごとの特徴と向いている人
継ぐ人がいて家族でお参りを続けたいなら一般墓、継ぐ人がいない、または子に負担をかけたくないなら、永代供養墓や、継ぐ人が要らない契約の樹木葬・納骨堂が候補になります。それぞれの特徴は次のとおりです。
一般墓は家族で受け継いでいくお墓
一般墓は、区画の使用権を取得して墓石を建て、家族や子孫が代々受け継いでいくお墓です。家墓・代々墓とも呼ばれます。区画は「購入」と言われることがありますが、土地の所有権は移らず、使う権利を得る契約です。
家族で同じお墓にお参りを続けられる一方、継ぐ人が管理料を払い続けることが前提になります。都立霊園では、年間の管理料を5年以上払わないと、使用許可の取り消しの対象になると案内されています。
継ぐ人がいて、家族のお墓を守っていきたい人に向く形です。
永代供養墓は霊園や寺院が管理を引き受ける
永代供養墓は、継ぐ人に代わって霊園や寺院が遺骨の管理を引き受けるお墓で、合葬墓・合祀墓という呼び方もあります。厚生省(現・厚生労働省)の指針によると決まった定義はなく、個別に納めて管理するもの、一定期間後にほかの遺骨と一緒に納める「合祀」に移すもの、最初から合祀するものなどがあります。
「永代」は永久という意味ではなく、霊園や寺院が続く限りという意味です。一度合祀した遺骨は取り出せないため、個別に納める期間を契約前に確かめ、親族とも話し合っておきましょう。
継ぐ人がいない人や、子に負担をかけたくない人に向いています。詳しくは「永代供養とは?費用相場・種類・メリットとデメリットまで解説」をご覧ください。
樹木葬は樹木を墓標にするお墓
樹木葬は、墓石の代わりに樹木や草花を目印にして遺骨を納めるお墓です。第一生命経済研究所(現・第一ライフ資産運用経済研究所)が2023年に公表した解説によると、1999年に岩手県の寺院が始めたのがきっかけで、区画に個別に納める型、1つの区画に骨壺ごと複数の遺骨を納める型、ほかの遺骨と区別できない状態で納める型があります。
自然に還るイメージを持たれやすいものの、焼いた遺骨は土の中でも分解しにくいとされています。遺骨を取り出しにくく、あとで別のお墓に移せない場合もあるので、納め方を確かめておきましょう。
墓石にこだわらず、自然に囲まれた場所を選びたい人に向いています。
納骨堂は屋内の施設に遺骨を納める
納骨堂は、建物の中の棚やロッカー、仏壇の形をした区画などに遺骨を納める施設です。法律では、他人から頼まれて遺骨を収蔵するために許可を受けた施設と定められています。
屋内なので天候に左右されずにお参りしやすい一方、参拝できる時間や供え物のルールが決まっていることがあり、一定期間後に合祀される契約もあり、一度合祀した遺骨は取り出せません。
お参りのしやすさを重視する人や、都市部で探したい人に合うでしょう。
当サイトでは全国7,000件以上の霊園・墓地・永代供養・樹木葬・納骨堂の情報を、都道府県・市区町村別に掲載しています。費用の目安やアクセスから比較できます。
墓じまいを検討中の方:地域別の墓じまい費用・補助金
公営・民営・寺院の運営元による違い
運営元による違いは、公営は費用が明確だが抽選と申込資格がある、民営は宗派を問わず選択肢が多い、寺院墓地は檀家になる条件がある場合がある、の3点にまとめられます。
3つの違いを表にまとめました。
| 運営元 | 申し込み | 宗派の条件 |
|---|---|---|
| 公営霊園 | 募集時期と資格あり | 問わないことが多い |
| 民営霊園 | いつでも見学・契約 | 問わないことが多い |
| 寺院墓地 | 寺院ごとに異なる | 檀家になる条件の場合あり |
公営霊園は費用が明確だが抽選と資格がある
公営霊園は都道府県や市町村が運営する霊園で、料金が明確です。その代わり、東京都の都立霊園の場合、募集は年1回の抽選で、住んでいる年数や手元に遺骨があることなどの申込資格があります。
2026年度の都立霊園の募集では、都内に5年以上住んでいることなどが一般墓の申込条件で、倍率は一般墓などで2.4倍、合葬埋蔵施設で6.4倍でした(東京都の2026年8月の発表)。申し込んでも入れない場合がある点は、知っておきたいところです。
横浜市が2027年度に合葬式の樹木型施設をもつ市営墓園を開く予定のように、公営でも樹木葬や合葬式の施設が増えています。
民営霊園は宗派を問わず選択肢が多い
民営霊園は、宗教法人や公益法人が経営し、区画の販売や管理を石材店などが受け持つことが多い霊園です。宗派を問わない霊園が多く、いつでも見学や契約ができ、樹木葬や納骨堂など選択肢も豊富にそろいます。
注意したいのは、墓石を建てる石材店が指定されている場合があることと、経営の安定性です。契約書や使用規則で、指定石材店の有無や管理料の改定のルールを確かめましょう。
寺院墓地は檀家になる条件を確かめる
寺院墓地は、お寺の境内などにあり、お寺が管理する墓地です。法要を頼みやすい一方、檀家になることが条件の場合があり、毎年の護持会費(お寺を支えるための会費)がかかることもあります。
国民生活センターが紹介している相談事例には、宗派を確かめて寺院の墓地を契約したのに別の宗派だとわかり、解約料を請求されたというものもあります。宗派の条件と、将来ほかへ移すときの扱いは、契約前に書面で確かめておきましょう。檀家の仕組みは「檀家とは?メリット・かかる費用・やめる方法をやさしく解説」で紹介しています。
お墓の種類別にかかる費用の目安
お墓の費用は、最初に払う使用料、墓石代、毎年の管理料の3つで考えるのが基本です。種類による差が大きいのは最初の費用で、一般墓は墓石代が加わるぶん高くなり、合葬式や樹林型は低く抑えやすくなります。
都立霊園の使用料に見る種類別の差
公営霊園の料金表を見ると、種類による差がよくわかるでしょう。東京都が2026年度の募集で示した、都立霊園の使用料の例は次のとおりです。
| 種類 | 霊園の例 | 使用料 |
|---|---|---|
| 一般墓 | 八柱霊園 | 320,850〜1,221,300円 |
| 一般墓 | 小平霊園 | 1,546,600〜5,016,000円 |
| 合葬埋蔵施設 | 八柱霊園 | 53,000〜131,000円 |
| 樹林型合葬埋蔵施設 | 多磨霊園 | 95,000円 |
一般墓は区画の広さによって使用料が変わります。合葬埋蔵施設は遺骨1体あたりの料金で、20年間個別に保管してから共同で埋蔵する方式のほうが、納骨してすぐ共同で埋蔵する方式より高く設定されています。
民営霊園や寺院の料金は施設ごとに大きく違うため、公営の一例として、見学のときに比べる物差しにしてください。
一般墓は使用料とは別に墓石代がかかる
一般墓の場合、区画の使用料とは別に墓石を建てる費用がかかります。都立霊園の使用料は区画を使う権利の料金なので、墓石を建てる費用は別に考える必要があります。
墓石の大きさや石の種類、工事の内容で費用は変わるため、複数の石材店から見積もりを取って比べると安心です。費用の内訳は「お墓を建てる費用はいくら?相場と内訳・安く抑える方法を解説」で詳しく紹介しています。
管理料や護持会費は毎年かかる
お墓を持ち続ける間は、毎年の管理料がかかります。都立霊園の一般墓では、年間の管理料は区画の広さに応じて1,620〜9,720円です(2026年度募集時点)。
寺院墓地では、管理料の代わりに護持会費を納めることがあります。永代供養墓のように最初に一括で払い、その後の管理料がかからない契約もあるので、「最初の費用」と「毎年の費用」を分けて比べましょう。
自分に合うお墓の種類の選び方
自分に合うお墓の種類は、継ぐ人がいるか、お参りに通えるか、契約の条件が合うかの順に考えると絞り込めます。家族の意見も聞きながら、候補を2〜3種類に絞ってから見学に行きましょう。
継ぐ人がいるかどうかで最初に分かれる
最初の分かれ道は、お墓を継ぐ人がいるかどうかです。継ぐ人がいて家族で守っていきたいなら一般墓、継ぐ人がいない、または子に負担をかけたくないなら、永代供養墓や、継ぐ人が要らない契約の樹木葬・納骨堂が候補になります。
はせがわが2024年7月に、お墓を買った・移した人と検討中の人、計600人(全国の40〜79歳)へインターネットで行った調査では、直近5年に買った・移した人のうち、一般墓は49.0%、樹木葬や納骨堂を含む永代供養型は49.7%でした。ほぼ半々で、どちらか一方が主流とはいえません。
お参りに通える距離と方法で絞る
お参りに通える距離と方法も、種類を絞る手がかりです。屋外の一般墓や樹木葬は天候や体力の影響を受けやすく、屋内の納骨堂は雨の日でもお参りしやすいという違いがあります。
納骨堂は、参拝できる時間や供え物のルールが施設ごとに決まっています。見学のときに実際のお参りの手順を試し、無理なく通えるかを確かめておきましょう。
契約前に合祀の時期と規約を確かめる
候補が決まったら、契約前に次の点を確かめましょう。特に永代供養墓や樹木葬では、個別に納める期間と、合祀される時期が施設ごとに違います。
| 確かめること | 主な理由 |
|---|---|
| 個別に納める期間と合祀の時期 | 合祀後は取り出せない |
| 使用料・管理料・護持会費 | 毎年の負担がわかる |
| 宗派・檀家の条件 | あとから問題になりやすい |
| 指定石材店の有無 | 墓石の工事先が決まる |
| 参拝の時間とルール | 通いやすさが変わる |
| 管理料を払えないときの扱い | 使用権がなくなる場合がある |
国民生活センターによると、全国の消費生活センターなどに寄せられた墓に関する相談は、2025年度に1,077件ありました。わからない点は、契約前に書面で確かめましょう。
お墓の種類についてよくある質問
樹木葬と散骨の違いや、永代供養の期間、宗派による違い、墓じまい後の移し先について、よく出る疑問をまとめました。
樹木葬と散骨は何が違いますか
樹木葬は墓地として許可を受けた場所に遺骨を納めるお墓で、散骨は遺骨を粉状にして、お墓に納めずに海や山にまく方法です。一度まいた遺骨は取り戻せないので、散骨を選ぶときは親族とよく話し合いましょう。違いは「自然葬とは?樹木葬と散骨の違い・種類別の費用と選ぶ前の注意点」で詳しく紹介しています。
永代供養ならずっと個別に納められますか
個別に納められる期間は、契約によってさまざまです。都立霊園の合葬埋蔵施設には、20年間個別に保管してから共同で埋蔵する方式があります。一度合祀した遺骨は取り出せないため、期間を確かめてから選びましょう。
浄土真宗や神道でもお墓の種類は同じですか
お墓の形の種類は同じですが、考え方や墓石に刻む言葉が異なります。真宗大谷派は墓碑に「南無阿弥陀仏」や「倶会一処(くえいっしょ)」を刻むと説明し、神道のお墓は「奥津城(おくつき)」と呼ばれます。宗派の条件がある霊園もあるので、お付き合いのある寺院や神社に相談すると安心です。
墓じまいした遺骨はどの種類に移せますか
永代供養墓・樹木葬・納骨堂・一般墓のいずれも移し先の候補になります。ただし、公営霊園の募集には、墓じまいなどで移す遺骨を対象外とする区分もあるので、申込条件を確かめましょう。厚生労働省の衛生行政報告例によると、遺骨をほかのお墓に移す改葬は2024年度に全国で約17.6万件あり、移すには市区町村の改葬許可が必要です。手続きは「墓じまいの手続きと必要書類|どこに何を出すかを順番に解説」で紹介しています。
まとめ
お墓の種類は、一般墓・永代供養墓・樹木葬・納骨堂の4つの形と、公営・民営・寺院の3つの運営元の組み合わせで決まります。継ぐ人がいるか、お参りに通えるか、契約の条件が合うかの順に考えると、候補を絞りやすくなるでしょう。
まずは家族で継ぐ人とお参りの希望を話し、候補の種類を2つほど決めてから、近くの霊園を見学してみてください。
当サイトでは全国7,000件以上の霊園・墓地・永代供養・樹木葬・納骨堂の情報を、都道府県・市区町村別に掲載しています。費用の目安やアクセスから比較できます。
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