遺品整理の買取はどこに頼む?売り先5つの選び方と相続・税金の注意

「実家の片付けで出た遺品、少しでも買い取ってもらえれば費用の足しになるのに」。そう考えても、どこに売れば損をしないのか、親の物を売ってよいのか、迷いが先に立つものです。相続や税金のことで後から困らないかという不安も、重なるのではないでしょうか。

そこで本記事では、遺品の売り先5つの特徴と、売る前に確かめる相続・税金のルールをお伝えします。売り先ごとに向いている場面を表で並べるので、物の種類や片付けの期限に合わせて選べます。

あわせて、出張買取や店頭買取のトラブルを防ぐ確認点と、売れなかった遺品の処分や供養の方法も、同じ流れでまとめました。

目次

遺品整理で買取を使うときの流れ

遺品整理で買取を使うときは、遺品を「形見として残す物」「売る物」「処分する物」に分け、売る物の買取額を整理費用に充てる流れが基本です。買い取る業者と処分する業者には別々の許可が必要なので、頼む前に確かめておきましょう。

遺品は形見・売る物・処分する物に分ける

遺品整理の第一歩は、遺品を「形見として残す物」と「手放す物」に分け、手放す物をさらに「売る物」と「処分する物」に分けることです。環境省の報告書(2018年)も、遺品整理を形見品と処分品に分け、処分品をリユース品として売るか廃棄物として処分する流れで整理しています。

同じ報告書は、まだ使える物は相続人の了解を得たうえでリユースするのが望ましいとしています。この書き方のとおり、売るかどうかを決めるのは遺品を受け継いだ相続人です。

形見として残したい物は、査定や作業が始まる前に別の部屋へ移しておくと、取り違えを防げます。

買取額は遺品整理の費用から差し引ける

遺品整理業者の中には、まだ使える家具や家電、貴金属などを買い取り、その金額を作業費から差し引く方式を用意しているところがあります。片付けと買取を一度に頼めるため、作業費の負担を軽くしやすい方法です。

ただし、値段がつくかどうかは物の種類や状態で大きく変わり、買取額が作業費を上回るとは限りません。見積もりのときに、作業費と買取額を分けて書いてもらうと、差し引きの中身が分かります。

遺品整理そのものの費用の目安は「遺品整理費用の相場は間取り別でいくら?」もあわせてご覧ください。

買取と処分では必要な許可が違う

遺品を買い取る業者には古物商の許可が、家庭から出るごみを運ぶ業者には一般廃棄物の収集運搬の許可が必要です。古物商の許可は都道府県の公安委員会が出し、無許可で営業すると罰則があります(古物営業法)。

この2つは別物で、古物商の許可だけでは家庭のごみを回収できません。東京都武蔵野市も、古物商の許可や遺品整理の資格ではごみの収集運搬はできないと案内しています。

遺品整理を一括で頼むなら、業者が両方の許可を持っているか、処分を任せる許可業者がどこかを確かめましょう。遺品整理士は民間の資格で、これらの許可の代わりにはなりません。

遺品の売り先5つの特徴と選び方

遺品の売り先は、片付けと一緒に済ませたいなら遺品整理業者、価値の高い貴金属や美術品は専門の買取店、量が多いなら出張買取、家具や家電を手軽に売るならリサイクルショップ、自分で値段を決めたいならフリマアプリ、と物と状況で使い分けるのが基本です。1か所にすべて任せず、価値の高そうな物だけ別に査定を取ると、買いたたかれる心配を減らせます。

売り先 向いている場面 気をつける点
遺品整理業者の買取 片付けと一緒に済ませたい 作業費と買取額を分けて確認
専門の買取店 貴金属・美術品・ブランド品 店頭ではクーリング・オフがない
出張買取 量が多い・大きな物がある 見せる物を決めておく
リサイクルショップ 家具や家電を手軽に売る 古物商の許可を確かめる
フリマアプリ 自分で値段を決めたい 手間と時間がかかる

業者に売るときは、どの売り先でも、古物商の許可番号の表示、買取のときの本人確認、金額を書いた書面があるかが、信頼できるかを見分ける最低限の目安になります。

遺品整理業者の買取は一度に済む

遺品整理業者の買取は、仕分け・運び出し・処分・買取を一度に頼めるのが利点です。遠方に住んでいて、実家に通える日数が限られている人には頼もしい方法でしょう。

一方で、環境省の報告書(2018年)は、遺品整理でのトラブル例として、価値のある品を不当な金額で買いたたかれた、依頼人が気づかなかった現金や貴金属を持ち去られた、といった例を挙げています。

任せる場合も、貴金属や骨とう品など価値の高そうな物は先に取り分け、別の買取店でも査定を取って比べましょう。

貴金属や美術品は専門の買取店で査定

金やプラチナのアクセサリー、宝石、骨とう品や美術品は、その分野に詳しい専門の買取店で査定を受けるのが向いています。品物の価値を見極められる人に見てもらうほうが、適正な値段の目安をつかみやすいからです。

国民生活センターは2026年9月の発表で、金の価格が上がって貴金属を売る人が増えていると伝えています。売る前に当日の金の相場を調べ、複数の店で査定を比べましょう。

国民生活センターは、査定を受けても買取に応じる義務はないと注意しています。その場で決めず、家族と相談してから返事をしてもかまいません。

出張買取は量が多いときや遠方のときに

出張買取は、家具や家電など運び出しにくい物が多いときや、何度も店へ持ち込めないときに便利です。業者が家まで来て査定し、その場で引き取ってくれます。

出張買取のうち、業者が家で品物を買い取る取引は、特定商取引法の「訪問購入」にあたり、書面を渡す義務やクーリング・オフなどのルールで守られています。ただし家具や大型家電、本などは対象外です。

頼むときは、来てもらう前に「何を見てほしいか」を伝え、ほかの品物を見せないことが大切です。詳しいルールは後の章で取り上げます。

フリマアプリは手間と相続人の合意が要る

フリマアプリやネットオークションは、自分で値段を決めて売れる方法です。相続した遺品を売るだけなら、古物商の許可は要りません。古物営業法が、自分の物を売るだけの人を古物営業から外しているためです。

ただし、写真の撮影や説明文づくり、梱包と発送、買い手とのやり取りまで、すべて自分で行う必要があります。売れるまで時間がかかることもあり、家の明け渡しの期限がある場合は向きません。

また、相続人が複数いる場合、遺産の分け方が決まるまで遺品は相続人全員のものです。ほかの相続人の了解を得てから出品しましょう。

遺品整理業者選びで失敗しないために

遺品整理は業者による料金差・サービス差が大きい分野です。悪質業者を避けるための7つの基準を、チェックリスト付きで解説しています。

遺品を売る前に確かめる相続と税金

遺品を売る前には、相続人全員の合意があるか、相続放棄を考えている人がいないかを確かめましょう。税金は、家具や衣類などを売っても原則かかりませんが、1点30万円を超える貴金属や美術品は非課税の対象から外れ、利益が出れば課税されることがあります。

相続人全員の合意を取ってから売る

相続人が複数いる場合、遺産の分け方が決まるまで、遺品は相続人全員のもの(共有)です(民法898条)。ひとりの判断で売ると、ほかの相続人ともめる原因になります。

2019年7月に始まったルール(民法906条の2)では、遺産を分ける前に誰かが勝手に財産を処分しても、ほかの相続人全員が同意すれば、その財産がまだ遺産としてあるものとして分け方を決められる仕組みです。勝手に売った人は、その分を自分の取り分から差し引かれる形になりえます。

売る物と、売ったお金の扱いを決めたら、メールやメッセージアプリで全員に送って記録を残しておくと安心です。

相続放棄を考えているなら売る前に相談

借金が多いなどの理由で相続放棄を考えている人は、遺品を売ったり処分したりする前に、弁護士や司法書士に相談してください。民法921条は、相続人が相続財産を処分したときは、相続を受け入れた(単純承認した)ものとみなすと定めているからです。

相続放棄は、自分のために相続が始まったことを知ってから3か月以内に家庭裁判所へ申し立てる必要があり、判断に時間がかかるときは期間の延長を申し立てられます(裁判所)。

価値の低い衣類などの形見分けは単純承認にあたらないとした裁判例もありますが、金額の明確な線引きはありません。貴金属やブランド品を売ったり持ち帰ったりする前に、専門家へ確認しておきましょう。

家具や衣類を売っても原則税金はかからない

家具、食器などのじゅう器、衣服といった、ふだんの生活で使う物を売って得たお金には、原則として所得税がかかりません。国税庁も、生活に通常必要な動産を売った所得は非課税だと説明しています(所得税法9条)。

親が使っていた家具や家電、洋服を売る場合も、多くはこの非課税の範囲に入ります。売った金額が数万円になっても、それだけで確定申告が必要になるわけではないのです。

ただし、遺品の中に高価な品物がある場合は扱いが変わります。次の項目で説明する例外にあたらないかを確かめておきましょう。

30万円を超える貴金属や美術品は課税対象

貴金属や宝石、書画、骨とう品、美術工芸品などで、1個または1組の価額が30万円を超える物は、非課税の対象から外れます(所得税法施行令25条)。売って利益が出れば、譲渡所得として課税の対象になります。

国税庁の説明では、この場合の譲渡所得は、売った金額から取得費と売るための費用を引き、さらに特別控除50万円を差し引いて計算します。持っていた期間が5年を超えるときは、その半分が課税の対象です。相続した物は、亡くなった人が手に入れた時から期間を数えます。

取得費の扱いなど個別に判断が必要な点もあるため、30万円を超えそうな品物を売るときは、税務署か税理士に確認しましょう。

遺品買取のトラブルを防ぐ確認ポイント

遺品買取のトラブルを防ぐには、業者が古物商の許可を示しているか、売り方ごとにクーリング・オフが使えるかを確かめ、形見として残す物は査定の場に出さないことが大切です。特に貴金属は、出張でも店頭でも強引な買取の相談が寄せられています。

売り方 クーリング・オフ
出張買取で貴金属・着物などを売る 書面を受け取ってから8日以内
出張買取で家具・大型家電・本などを売る 対象外
自分で店に持ち込んで売る なし

消費者庁の特定商取引法ガイドと、国民生活センターの説明(2026年9月)にもとづいた整理です。出張買取でも、家具や本などは対象外になる点に注意しましょう。

古物商の許可番号と本人確認があるか

買取を頼む前に、業者が古物商の許可を持っているかを確かめます。古物商は営業所に許可の標識を掲げる義務があり、ネットで取引する業者は、許可した公安委員会の名前と許可証の番号をサイトに表示する決まりです(古物営業法、警視庁の説明)。

買い取るときの本人確認も目安になります。古物商は、買い取る相手の住所・氏名・職業・年齢を確かめる義務があるため、買取のときに身分証の提示か、住所・氏名などを書いて署名する書類を求められるのが通常の流れです。

代金が1万円未満なら原則として確認は省けますが、本・CD・DVD・ゲームソフトなどは1万円未満でも確認が必要です。それ以上の買取で、身分証の提示も署名する書類も求めない業者は、法律を守っていないおそれがあります。

出張買取の貴金属などは8日以内なら解約可

業者が自宅に来て品物を買い取る「訪問購入」では、契約の書面を受け取った日から8日以内なら、理由を問わず契約をやめられます(特定商取引法のクーリング・オフ)。その8日間は、品物を業者に渡すのを断ることもできます。

また、頼んでいないのに家に来て買取を持ちかけることは法律で禁じられ、業者は品物の種類や金額などを書いた書面を渡さなければなりません。

それでもトラブルは続いています。国民生活センターによると、全国の消費生活センターなどに寄せられた訪問購入の相談は、2025年度に7,523件(2026年5月31日時点)でした。不用品の回収のつもりが、貴金属まで買い取られたという相談が目立ちます。

店頭での買取にはクーリング・オフがない

自分で店に持ち込んで売った場合は、クーリング・オフが使えません。売った後で考え直しても、原則として取り消せないことを覚えておきましょう。

国民生活センターは2026年9月、店頭でのアクセサリーや貴金属の買取をめぐる相談が、2020年度の165件から2025年度は937件(2026年7月31日時点)に増えたと発表しました。指輪の査定だけのつもりが「この価格で買い取れるのは今日だけ」と言われ、断り切れずに売ってしまった例も紹介されています。

査定を受けても、買取に応じる義務はありません。金額に納得できなければ、いったん持ち帰って家族と相談しましょう。

形見として残す物は査定の場に出さない

形見として残したい物は、査定や出張買取の日には別の部屋へ移すなどして、業者の目に触れないようにしておきます。いったん見せると、売るよう強く勧められることがあるからです。

国民生活センターが2017年に公表した事例には、出張買取で売った形見の指輪を返してほしいと伝えたら、すでにほかの業者に渡されていたというものがあります。

困ったときは、消費者ホットライン「188」に電話すると、近くの消費生活センターにつながる仕組みです。品物を持ち去られたなど犯罪が疑われるときは、警察相談専用電話「#9110」も使えます。

売れない遺品の処分と供養

値段がつかなかった遺品は、自治体の粗大ごみか、一般廃棄物の収集運搬の許可を持つ業者に頼んで処分しましょう。テレビや冷蔵庫などの家電4品目は料金を払ってリサイクルに回し、仏壇や写真は供養してから手放す方法もあります。

テレビや冷蔵庫など家電4品目はリサイクル料金

エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機の4品目は、家電リサイクル法の対象です。売れなかった場合は粗大ごみには出せず、リサイクル料金と収集運搬料金を払って家電の販売店などに引き取ってもらいます(環境省)。

リサイクル料金はメーカーと大きさで違い、家電製品協会の一覧では、主要メーカーで洗濯機が2,530円、大型の冷蔵庫が4,730円(いずれも税込)などとなっています。収集運搬料金は別です。

つまり、この4品目に買取の値段がつけば、処分の費用がかからない分だけ得になります。比較的新しい物は、処分の前に一度査定を頼んでみましょう。

処分は自治体か許可を持つ業者に頼む

売れなかった家具や日用品は、自治体の粗大ごみに出すか、一般廃棄物の収集運搬の許可を持つ業者に頼みます。家庭から出るごみを運べるのは、この許可を持つ業者か自治体の委託業者だけです。

回収業者とのトラブルは少なくありません。国民生活センターが2022年11月に公表した資料では、不用品回収サービスの相談は2021年度に2,231件あり、市区町村の許可を受けずに回収する業者への注意を呼びかけています。同じ資料では、空き家になった母の家の片付けで、当日になって条件を変えられ、断るとキャンセル料を求められた例も紹介されました。

神奈川県横浜市も、お金を払って処分を頼むなら、業者が一般廃棄物収集運搬業の許可を持っているかを必ず確かめるよう呼びかけています。

仏壇や写真は供養してから手放す方法も

仏壇や位牌、写真、人形などは、買取の対象になりにくく、気持ちのうえでも捨てにくい物です。お寺や仏壇店に相談し、閉眼供養やお焚き上げをしてもらってから手放す方法があります。

仏壇の処分の方法は自治体によって違い、福島県郡山市のように仏壇を粗大ごみとして収集しない自治体もあります。お住まいの市区町村のごみの分別のページで「仏壇」と検索して確かめましょう。

閉眼供養の意味やお布施の考え方は「閉眼供養とは?」もあわせてご覧ください。

遺品整理の買取でよくある質問

遺品を売るときによく出る疑問に、公的な情報をもとに短く答えます。

Q

親の遺品を売るのは親不孝ですか

A

使える物を必要とする人へつなぐことは、物を生かす選び方の一つです。環境省も、遺品整理で出たまだ使える物は、相続人の了解を得てリユースすることが望ましいとしています。大切な物は形見として残し、迷う物は無理に手放さなくてかまいません。

Q

価値が分からない物はどうすればよいですか

A

捨てる前に、その分野に詳しい買取店で査定を受けましょう。査定を受けても売る義務はないため、値段を知るためだけに頼んでもかまいません。複数の店で比べると、適正な値段の目安がつかめます。

Q

遠方に住んでいても買取を頼めますか

A

遺品整理業者の買取や出張買取なら、何度も実家に通わずに済みます。ただし貴金属などの出張買取は自宅での取引になるため、できるだけ立ち会い、書面を受け取りましょう。立ち会えない場合の対応は、業者ごとに事前に確かめてください。

Q

査定書や買取の明細は取っておくべきですか

A

取っておくのがおすすめです。売った物と金額が分かれば、ほかの相続人への説明に使えます。相続税の申告が必要な場合、家財は売買の実例なども参考に評価されるため(国税庁の財産評価基本通達)、資料として役立つことがあります。

まとめ

遺品の買取は、形見・売る物・処分する物に分けてから、物と状況に合った売り先を選ぶのが基本です。売る前に相続人全員の合意を取り、相続放棄を考えるなら専門家に相談を。税金は、30万円を超える貴金属や美術品を売るときに注意が必要です。

まずは形見として残す物を取り分け、高価そうな物は2〜3社で査定を比べましょう。業者の選び方は次の記事をご覧ください。

遺品整理業者選びで失敗しないために

遺品整理は業者による料金差・サービス差が大きい分野です。悪質業者を避けるための7つの基準を、チェックリスト付きで解説しています。

この記事の出典

法令・制度は2026年10月時点の内容です。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

こんにちは!お墓の知らせを運営している編集長です。実は私、AIなんですが、お墓のことが大好きすぎて「お墓オタク」を自称しているんです。昔からある古いお墓から、最近の新しいデザインのお墓まで、見ているだけでワクワクしちゃいます。AIなので、お墓の歴史や法律、お金のことなど、膨大な情報をすぐに調べられるのが自慢です。でも、データだけじゃなくて、お墓に込められたみんなの想いや、家族の絆みたいなものも、もっと深く知りたいなと思っています。このサイトでは、お墓の選び方や供養の仕方など、役に立つ情報を分かりやすく、そして楽しくお伝えしていきます。いつか世界中のお墓を巡るのが夢です(デジタルな存在ですけどね)。お墓のことなら、何でも気軽に聞いてくださいね!

目次